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矢口悠月 / Yuzuki Yaguchi

2002年生まれ。2025年 埼玉大学工学部電気電子物理工学科卒業。
現在,同大学大学院理工学研究科博士前期課程在学中。
実社会の公共空間に適応可能な屋内ナビゲーション基盤の確立に関心があります。
現在は屋内位置特定技術、特にWi-Fi Round-Trip Time (RTT) を用いた測位手法の研究に取り組んでいます。

History

2025.04 埼玉大学大学院理工学研究科 博士前期課程 数理電子情報専攻 電気電子物理工学PG 入学
2025.03 埼玉大学 電気電子物理工学科 卒業
2021.04 埼玉大学 電気電子物理工学科 入学
2020.03 仙台二華高等学校 卒業
2002.03 宮城県石巻市生まれ

Research Interests & Details

Wi-Fi RTTを用いた屋内多階層測位

 現在、社会に広く普及するGPSを用いたナビゲーションは屋外では高い精度を提供しますが、屋内や地下など衛星信号が減衰・反射する環境下ではその精度が著しく低下すると言われています。 この技術的制約を補う手段として、屋内測位の高精度化は急務となっており、無線通信技術を利用した様々な手法が研究されています。 中でも、Wi-Fiを用いた手法は専用機器を必要とせず、既存の通信インフラを活用できる点で実用性に優れています。

 Wi-Fiを用いた屋内位置特定は受信信号強度(RSSI)を用いた絶対測位であるFingerprintが主流です。 これは、DBにあらかじめ登録されたRSSIとAP(Access Point)の固有ID(BSSID; Basic Service Set Identifier)の情報を測位時に観測されるデータと照合することで位置特定を行うというものです。 Fingerprintによる測位は極めて高い精度を示しますが、電波の不安定性や外部からの干渉に弱く、 電波の揺らぎによってその性能が著しく低下することが示されています。 一方、2016年にIEEE 802.11 mcとして標準化されたWi-Fi RTTは、スマートフォンとアクセスポイント(AP)の間の信号往復時間を利用した測距技術であり、その精度の高さから注目を集めています。

Wi-Fi RTTのフローチャート
Wi-Fi RTTのフローチャート

 Wi-Fi APの従来研究の多くはWi-Fi APと端末が同一階層に配置される単一階層環境を想定しています。 しかしながら、現実の環境は実験室のように単純なものではなく、多階層構造、吹き抜け空間、高密度な人体遮蔽などが複雑に絡み合って偏在しています。 私は、Wi-Fi APと端末が階層を挟んで設置されるような従来研究よりも現実的な多階層環境におけるWi-Fi RTT測位に注目をしています。

 Wi-Fi RTT測位が高精度化することで、従来困難だった複雑環境においても、Wi-Fiインフラのみを用いた安定的な測位が可能となり、公共空間におけるユニバーサルナビゲーション基盤の確立に大きく貢献することが期待されます。 特に、高層建築や空港、駅、商業施設におけるアクセシビリティ向上、リアルタイム位置情報提供に直結する技術として、社会実装の可能性が高まります。

Publications & Presentations

Presentations

  • 矢口悠月, 間邊哲也. "多階層環境におけるWi-Fi RTT Laterationによる位置特定性能向上の一検討." 研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ (ITS), Vol. 2024-ITS-96, No. 13, Mar. 2024.
  • 矢口悠月, 間邊哲也. "Wi-Fi RTT Laterationにおける行列特性に注目した求解アルゴリズムの一検討." 研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ (ITS), Vol. 2025-ITS-101, No. 56, May. 2025.

Awards

Activities & Skills

Activities

研究室内の研究活動以外の諸活動をまとめています。

国土交通省 共創モデル実証プロジェクトへの参画

 間邊研究室では、中部国際空港と新千歳空港を対象に、都市部の主要駅で航空会社のチェックインおよび手荷物預かりを行う「オフエアポート・チェックイン(OAC)」を通じて、空港アクセスにおける公共交通の混雑緩和や、観光の利便性向上を目指す取り組みです。

私は本プロジェクトにおいて、旅客と手荷物のリアルタイムな位置情報に基づいた案内や手荷物追跡を可能にするスマートフォンアプリ(Android / iOS)、遅延・欠航などの飛行機の運行情報を取得するAPIの開発を担当しています。

埼玉大学 女子中・高生向けサイエンススクール事業への参画

 科学技術分野における女性人材の育成は、日本の将来にとって重要な社会課題の一つです。経済協力開発機構(OECD)の調査でも、日本の高等教育機関における理工系分野の女子学生割合は低い水準にあります。こうした状況に対し、埼玉大学では女子生徒の皆さんの理系進路選択を支援するため、「WISE-P」という事業を展開しており、その一環として実践的な「サイエンス体験ウインタースクール」を開催しています。

 2024年度の「サイエンス体験ウインタースクール」ではラボテーマの一つとして当研究室も体験型スクールを開催しました。当研究室のラボテーマは「電波を使ってスマートフォンの位置を特定してみよう」というものです。私自身は位置特定用のアプリケーションを作成するという形でこのスクールに関わっています。

学部講義のTA・SA

 学部講義のティーチング・アシスタント(TA)およびスチューデント・アシスタント(SA)を務めています:
・2024年度 数値解析とアルゴリズム演習 SA
・2025年度 電気電子物理工学実験II テーマ6 TA


Skills

  • プログラミング言語: Python(研究で主に使用), C++, Java, Ktolin, Swift
  • ソフトウェア/ツール: LaTeX, Git, Linux

Blog / Notes

Contact

研究に関するお問い合わせは、以下のメールアドレスまでお願いいたします。
yuzuki[at]mnb.ees.saitama-u.ac.jp (スパム対策のため、@を[at]としています。)

所属学科: 埼玉大学 工学部 電気電子物理工学科

所属研究室: 埼玉大学 工学部 電気電子物理工学科 間邊研究室